祈りと埋葬(12/10 宮本佳林 卒業コンサート@日本武道館)
推しの卒業コンサートを経験するのは、これで3回目になる。
1回目、2014年11月26日、道重さゆみ卒業コンサート。
まるで熱病に浮かされながら観た映画の、そのエンディングのようだった。
2回目、2015年3月3日、Berryz工房活動休止コンサート。
まるで世界の終わりに空いた穴の、その中で叫んでいるようだった。
3回目、2020年12月10日、宮本佳林卒業コンサート。
切迫感は、もちろん無かった。
* * *
アイドルの卒業コンサートは埋葬行為だ。
全部埋めるのだ。
楽しかった思い出も、辛かった思い出も、言いたいことや、やり残したこと、後悔や安堵や熱情や諦観や憐憫も自慰も全部全部、日本武道館の底に埋めて土で蓋をし、終わった後は手を合わせる。
葬式は死ぬから尊い。
死んだ後も、今までとほとんど変わりのない死後の世界があると言われて、葬式で泣く人は誰もいない。
だから僕は泣かなかった。佳林ちゃんがJuiceを卒業した後も、差し当たってやることは変わらない。ソロ活動を追いかけるだけだ。
だが、席を一つ空けて隣にいたおじさんと、高木さゆきは泣いていたし、朋子とうえむーは目を潤ませていた。
メンバーが泣くのは分かる。彼女たちには死後の世界がない。今まで7年以上も一緒に活動してきて、それが明日からはそこに人がいないのだ。それは死にも近い感覚だろう。
オタクはどうだろうか。もしかしたら、Juice=Juiceを追いかけ続けるオタクからすると、それは死かも知れない。箱としてJuiceが好きだったオタクもそうかも知れない。ただ、箱としてJuiceを好きだったオタクは、2017年に死んだはずだが。
* * *
久しぶりに観た推しのライブは楽しかった。もちろんコロナ禍での開催のため、着席・無言での鑑賞という、「音楽の歓び」をほとんど感じられない環境ではあったけれど、それでもただ鑑賞するという意味でとても楽しかった。
同時に、アーティストがステージ上でかける「ライブの魔法」がいかに脆いかを知った。
僕がライブアイドルを素晴らしいと思う理由、それは「ライブの魔法」が強烈だからだ。音と光と、ステージの躍動と、観客の激情と、およそこの世の感情のすべてがあると錯覚するくらいに、僕はライブが好きだ。
それなのに、手足をもがれ、口を縫われたライブがいかに無情か。なるほど、「パフォーマンスを鑑賞する」という観点だと落ち着いて観られる人もいるかも知れない。多様性の時代だ。
Juice=Juiceの宮本佳林を、僕は音楽として愛していた。彼女を中心として提供される音楽空間が本当に好きだった。今日のコンサートは、果たして音楽だっただろうか?
違う、と嘆いても仕方がない。もちろん感謝している。ありがとう。
佳林ちゃん、卒業コンサートをありがとう。
* * *
Juiceのコンサートで一番記憶に残っているのはどのコンサートだろう?
初めてホールで観た、2015年江戸川のJuice=Juiceの日?
演出がとても凝っていて最高だった2016年初めてのホールツアー?
いっぱしのオタクとして参加した、初の武道館コンサート?
うだるような暑さを我慢してこぎつけた、2018年の音霊ライブ?
Juiceではないけれど、2017年のBDイベントや、2019年の佳林ちゃんソロライブ?
どれも本当に素晴らしかった。コンサートが終わった後の幸せな疲労感は、今でも鮮明に思い出せる。
ただ、こうして思い返す中で一番強く記憶に刻まれているのは、ライブハウスツアーの楽しくも苦しい思い出ばかりだ。
まず全然見えないわ、オタクが臭いわ、身動きもできず、夏の猛暑を延々歩いてたどり着いたライブハウスがまたクソ熱い京都FANJ、目の前のオタクが推しかぶりで同じタイミングでサイを掲げるから全く見えないし、親の声より聞いた定番曲、初披露のクソ曲、昼夜2回回し、それを2日連続、遠征先から夜行バスで帰る途中の尻の痛さ、東京駅から帰る時の早朝の冬の寒さ、そのまま仕事に行った時の眠さ。
全部全部全部が最高の思い出だ。
本当に本当に楽しかった。
今日の卒業コンサートを観ていて、「行ける現場はもっと行っておけば良かった」と後悔めいた気持ちになったタイミングがあった。ただ、こうして思い返していると、「この記憶が持てただけで十分に幸せ」だと思える。
もう、年齢的にライブハウス巡りはできないだろうし、佳林ちゃんのソロ活動でも地方のライブハウスの活動はないだろう。
だから、この記憶は永遠に鮮明な思い出として残る。いつか僕が墓の下に埋葬されても、そこまで持っていくだろう。
僕はこれからも宮本佳林ちゃんオタクを続けるけれど、しかしこの思い出はここに埋葬することにする。
いつまでも未練たらしく眺めるのはよそう。
宮本佳林ちゃん、ありがとう。幸せな時間をありがとう。
* * *
コンサートの個々の感想は次回書く。
深夜2時、三浦春馬「Night Diver」
自分は三浦春馬が少し好きだった。
アイドルオタクになるよりももっと前、ただテレビなどで元気にしている彼を見ると嬉しくなるような、そよ風のような好意だ。
最初に彼の顔と名前が一致したのは8年くらい前になると思う。
美人な顔立ちだな、と思った。こんな顔に生まれたかったとも思った。
それからしばらくして、三菱東京UFJ銀行の広告に抜擢されていて、「がんばっとるやないけ」と嬉しく思ったのを覚えている。
その後すぐ、テレビを持たない生活になり、彼の記憶は薄れていった。
そして去年、テレビを持つ生活になり、また彼を目にすることが増えた。
久しぶりに見かけた彼は随分と雄々しくなり、
ヒゲなどを生やし、
ドラァグクイーンの役を華やかにこなし、
JUJUの隣で「ちょっとワルな大人」の顔をしたがる青年になっていた。
けれどもその瞳は、あの頃と同じ、黒く、みずみずしく、美人だった。
自分は三浦春馬がテレビに映るたび、
「春馬はこういう"男"としての自分を見せたがるからな~笑」
などど、同居人に向かって嬉しそうに話した。
そんな三浦春馬が死んだ。
* * *
ふんわりとした、そよ風のような好意だったので、落ち込むことは無かった。
けれど、喪失感があった。
同居人が「びっくりだね」と呟いたのだが、自分は言葉にしたくなかった。
比べるものでもないが、アイドルの卒業発表を聞いた時の喪失感に似ていると思った。永遠に会えなくなってしまうのだから。
ただし、毎月数回は会いに行くアイドルと違って、三浦春馬はテレビで目にするだけの存在だ。強いショックを受けるほどではない。
それでも、確かな喪失感があった。自分は、彼のことがけっこう好きだったのだと思った。
* * *
そして今日。
仕事が終わらず、終わらせる気もなく、ただ夜更しだけをしている深夜2時、YouTubeを開いたら、三浦春馬「Night Diver」のPVがホーム画面にあった。
曲は、想定していたよりも数倍カッコよく、コンテンポラリーな雰囲気だった。
「若手人気俳優が出した曲」というレッテルで括られるにはあまりに攻めた楽曲だった。
それを聞いて、(ああ、春馬だな…)と思った。
自分は三浦春馬のことをほとんど知らないが、「自分の中の三浦春馬像」にピタリと一致していた。
彼は、外見の柔和さや、アミューズという事務所での若手俳優という扱い以上に、個性的でありたい人だと自分は思っていた。
まさにその彼が自己表現としてリリースするに相応しい、攻めた楽曲だった。
* * *
ただそれだけのことで、1年ぶりにブログを書いた。
いや、本当は彼の「Night Diver」が、自分の好きなアイドルJuice=Juiceの「Dream Road」に似ていたからだ。
コンテンポラリーなダンス、打ち込みのサウンド、サビがまさかのInstrumental+コーラス。
初めて発売日にCDを買ったJuiceのシングルだ。
最初にラジオで初公開され、仕事帰りの電車の中で必死にイヤホンから手繰り寄せた音があまりにクールで、すぐに週末・小樽でやるライブに行くための飛行機を購入した。
あの時の情熱。
夏の小樽の風。
ライブハウスに充満するサウンド。
変なダンスを半笑いでする宮本佳林ちゃん。
そういったもの全てが「Night Diver」に呼び起こされ、僕は夜の底に沈んでいく。
明日の仕事、どうするか。
Juice=Juice『Dream Road~心が躍り出してる~』(Promotion Edit)
改めて聞くと全然似てないな。
10/17 宮本佳林 LIVE TOUR ~Karing~(東京)
久しぶりに感想を書きたいと思ったので書く。
異例のライブツアー
まずこのライブツアー自体は異例だ。
まだハロプロのグループに所属している時にソロでライブ、しかも東名阪のZeppツアーである。FCイベントのくくりで、誕生日のソロイベントやディナーショーなどは過去に例がある。外部にお呼ばれしてのソロ活動自体も、雑誌などで例がある。
ポイントは、ライブツアーなのである。
ライブはハロプロ=アップフロントにとって命である。なのでライブをちゃんとやるということは、そこに相応のコストが発生する。もっと言うと内製でやりくりするアップフロント的には、既存のグループとのリソースの奪い合いなのである。
そのリソースがモーニング娘。のメンバーではなく、どちらかと言うと最近は「グループの顔」としての役目をぼかしつつある佳林ちゃんに回ってきたのだ。
そういう異例さも相まってか、当の宮本佳林ちゃんも、このツアーの告知は相当テンションが高かった。これは前日のブログである。
ハッピーなこと!明日12:00✩.*˚宮本佳林 | Juice=Juiceオフィシャルブログ Powered by Ameba
※関係ないがこの時のあまりのテンションから、自分は(CM決定か!?)などと変な浮かれ方をしていた。
ライブ前のきもち
異例の開催とは言え、実は自分はそんなにテンションが上がっていなかった。なぜかと言うと、宮本佳林ちゃんのバースデーイベントはここ2年連続で「実質ライブ」なのである。
通常、バースデーイベントというのは半分がミニゲームやトークコーナー、残り半分がライブという構成が多い。それが宮本佳林ちゃんの場合、2017年・2018年と全編ライブ+自作曲披露という構成になり、「実質ライブ」なのである(あの辺からそういう構成のメンバーもかなり増えたが)。
そして初めて体験した2017年の時に「こんなに最高なことがあるか?!」と思ったほど感動したので、あれより良いライブのイメージが浮かばず、今回のツアーはそれをFCイベントの外の枠組みでやるんだろう、くらいに思っていた。
宮本佳林ちゃんには、この時の期待感のなさを本当に謝りたい。
セットリスト
ここからネタバレが挟まります。
以下セットリスト(某匿名掲示板から転載)
01-私が言う前に抱きしめなきゃね
02-大人の事情
03-愛のダイビング
MC
04-氷点下(新曲)
05-タメライ(新曲)
06-Only choice
07-最高視感度
08-初めてを経験中
MC
VTR
09-駐車場のお姉さん(自作曲)
10-天使のウィンク(松田聖子)
11-恋☆カナ(1フレーズのみ)
12-ミニモニ。ジャンケンぴょん!(1フレーズのみ)
13-カリーナノッテ
14-ロマンスの途中
15-「若者ブランド」(新曲)
MC
16-少女K(新曲)
17-どうして僕らにはやる気がないのか(新曲)
18-明日やろうはバカやろう
19-CHOICE & CHANCE
20-「落ちこぼれのガラクタだって」(新曲)
EN
21-銀色のテレパシー
MC
22-「ひとりで生きられそう」って それってねえ、褒めているの?
各所感想
舞台構成&オープニング
舞台上には白く横長のスクリーン?壁?があり、そこにプロジェクターで本ツアーのロゴが映されていた。他に特別なセットはなし。グッズ衣装からして愛理の影響を受けてるような印象があったので、愛理がコットンクラブでやったようにプロジェクションマッピングをやるのかと思った。
時間になり、アップフロント的な出囃子が流れた後、ダンサーが4人出てきた。やはり愛理のコットンクラブを彷彿とさせる。しかしここで心配が生まれた。佳林ちゃんは愛理と違ってコンパクト体型なのである。手足の長いダンサーの中に混じって浮かないか?
結論、それは杞憂だった。左右に別れたダンサーが迎える中、横長の白い壁が開いて出てきた宮本佳林ちゃんは、愛理のような「スタイリッシュシンガー」としてではなく、付き人を従える「スーパープリンセス」としてそこに立っていた。
よく見るとダンサーの方々の身長もやや低めの方々が選ばれていて、見た目のバランスにも配慮があったように思う。
01-私が言う前に抱きしめなきゃね
自分はこの曲が好きではない。
いつもコンサートの後半の「ハロプロ流ラストスパート」の中に伊達やロマンスと一緒に出てきて、「はいオタクさん、ここから盛り上がってくださいね」と言われているようなのである。
しかし今日は違った。記念すべきソロツアーの1曲目にこの曲が来ることは、このライブ自体が「ちゃんと考えて作られていること」の証だった。
ライブのセットリストは、何より「文脈」が必要だと思っている派なので、この選曲にはグゥの音も出ず、未だに上手く描けないサビラストの★マークを描くことに熱中した。
02-大人の事情
からの大人の事情である。もうブチ上げよ。
あの1曲目の後の大人の事情。これに込められた意味がわかるか?
なあ、つんく。聞いているか?
頼むつんくよ、聞いてくれ。
宮本佳林ちゃんという星が煌めく音を。
――いやほんと、この挑戦的かつ鉄板のセトリにはもう脱帽して毛髪も抜け落ちるレベルでした。ポゥ!
MC
この完璧なステージングから第一声、一体何をしゃべるのかと思ったら、「人が多い」「女の子がたくさん来てる」「本当はもっとオシャレしなきゃいけないけど私服はダサい方」「でもそれも私なので直さない」みたいなことを言っていて本当に宮本佳林ちゃんだな!最高!と思いましたね。
いやしかし、気持ちはわかる。こんなに人がいるとは思わなかった。1700人ぐらいいたのかしら。しかもいつものJuiceオタクの層より若い人も多くて、ぼくが宮本佳林ちゃんでも同じこと言うと思う!みんなも宮本佳林ちゃんだとして同じこと言うよね??
04-氷点下
ここでまさかの新曲。山崎あおい作詞作曲。
曲に関しては、個人的にはあまり好きではなかった。世界観は遠距離恋愛の話で、率直に言って銀テレのオマージュではないかと思った。児玉雨子と山崎あおいは仲が良いと聞くし、一種のアンサーソングのようなものではないだろうか。編曲は確か江上浩太郎で、キラキラとした氷のようなサウンドは素敵だった。
ただ、この曲がすごかったのは宮本佳林ちゃんなのである。
スクリーンに映る表情があまりに感情的で、まさに曲の主人公になりきっていたようだった。なおかつ、その主人公の感情を極限まで昂ぶらせていて、今にも泣き出さんばかりの切迫感を持って届けられたのである。
顔芸――と一言では片付けられまい。表情以外も含めた総体的な感情表現が極まっており、パフォーマーによって曲の良さが引き出される体験を目の当たりにしたのである。
05-タメライ
新曲。ラテンぽい感じ。『色っぽい じれったい』みたいな…。
この曲は佳林ちゃんもかなり歌い方を変えており、(新しい表現に挑戦してるんだな。ソロでやるなら色々やらないとな)という気持ちになった。
06-Only choice
ミュージカル『恋するハローキティ』の曲である。確かこのパートからバンドを背負ってのステージングになった。バンドの構成はGu./Co./Ky. の3人。
自分は知らなかったのだが、ミュージカル調の曲。ダンサーの人が身体表現で演じていたりして、ドラマティックな表現と歌が組み合わさって素敵だった。また佳林ちゃんのミュージカルが見たいものである。#TR永遠君はさておき。
07-最高視感度
もうブチ上げよ。YUKIになって『うれしくって飛び上がるよ』って曲を作りたい。
自分が『私が言う前に~』をあまり好きではない理由の一つに、コピンクが好きだったから、というのがある。当時はハロオタ1年目、モーニング娘。以外にも色々聞いてみようと思ってコピンクの曲を聞き、ハマったのである。
この宮本佳林ちゃんという子がデビューするなら、ぜひこの路線で行ってほしいものだ、と思っていたのだけれど、実際にはファンキーでモダンな感じのグループになり、納得がいってなかった頃の曲だったのである。
なのでコピンク曲が聞けるのは本当に嬉しかった。うれしくって一瞬サビマサイをしてしまったのだが、サビにはちゃんと振り付けがあるらしく、すぐにちゃんと従いました。
09-駐車場のお姉さん
この曲には色々と思うところがあるのである。
自分は今回も、バースデーイベントと同じく自作曲の発表があるだろうと思っていた。しかし、この曲はややネタよりの曲というか、こういうのも良いとは思うが、自分が求めていたものではなかった。
オタクの勝手な願望があさっての方向に行くのはよくあることであるが、他にも新曲がたくさんある中で、なんだかアップフロントから「君の曲はまだ商業レベルではない」と言われた気がして、少し落ち込んだのである。
以前から思っていたことで、今回も全編を見渡して思ったことではあるのだが、佳林ちゃんはクリエイターよりもパフォーマー向きなのかも知れない。本当はそういう呼び名なんてどうでもいい話なのだが、本人の作曲意欲を思うと複雑な気持ちになるのである。
13-カリーナノッテ
最&最
ただし、バンドサウンドだとややボーカルの透明感が失われるように感じ、難しいなと思った。
14-ロマンスの途中
もう一つの「はじまりの曲」
宮本佳林ちゃんには「はじまりの曲」がいくつかあると思っていて、
- カリーナノッテ
- 私が言う前に抱きしめなきゃね
- ロマンスの途中
の3つ。もちろんきらレボの曲や、松田聖子さんの曲もそうだとは思うが、一旦ハロプロに絞る。
この中で、わた抱きとロマンスの使い分けってけっこう難しいよな、と勝手に思っている。どちらもJuice=Juiceとしてのはじまりの曲でもあるのだが、本人の心境的にはわた抱きの方がより「はじまり」に近かったのかな、と今回のセトリを見て思った。
新曲ラッシュ
15-「若者ブランド」
16-少女K(新曲)
17-どうして僕らにはやる気がないのか
この辺り、特に「新曲」として告知されたわけではなかったので、てっきり「ハロプロ外の誰かの曲だろう」くらいに思っていた。
「若者ブランド」は元気な曲。『少女K』は昭和っぽい曲、という感想。
『どうして僕らにはやる気がないのか』、今回の新曲群の中でこの曲が一番好きだった。だから当日夜にはDL配信が始まると聞いて嬉しさ半分、(事務所ちゃん、わかってるじゃん)と思うの半分だった。
曲は90年代ロック、、、くらいの漠然とした理解しかできていない。編曲がSCRAMBLESで、作曲もその中の一人なので、「昔のBiSっぽい」という表現が一番しっくりくる。作詞は山谷葉子、どういう人なのかパッと調べた限りでは分からなかった。
タイトルも面白いなと思った。バチクソにやる気しかない宮本佳林ちゃんにこんな昭和の不良みたいな歌を歌わせるの。Twitterにも書いたが、佳林ちゃんは主人公体質だから、よく知る人=ハロプロ関連の人はどうしても宛て書きをきてしまうように思う。(推しの欲目200%)。
そんなこと何より、とにかく歌が良いのである。ロングトーンで叫び上げるロックが、宮本佳林ちゃんにこんなに合うとは思わなかった。新しい宮本佳林ちゃんを見た。
こうやって、今まで関わったことがない人達の曲によって、今までにない宮本佳林ちゃんが生まれるの、まさに天性のパフォーマーだなと思うのである。主人公向きの役者の人って、本人の個性が特段強いわけではなく、どんな脚本にも染まる人、みたいな話を聞いたことがある。そんな感じ。
18-明日やろうはバカやろう
新しい佳林ちゃんを見てテンション爆上げしてた中で流れたこのイントロ。おれの気持ちがわかるか??
明日バカは不遇の曲である。曲自体はゴリゴリのロックでうねるベースが最高なのに、なぜかネタ曲として扱われてしまう。昔、オタクの中で地団駄やあばれてっか?! ハブアグッタイと同列に語られたことがあり、その時の無念さったらない。そうだよな板垣祐介(作曲者)!
ただしその話であばれ~をネタ扱いすると、あばれ過激派から怒られるのである。地団駄過激派は今の所知らない(好きな人は多いが、ネタ扱いは前提)。
20-「落ちこぼれのガラクタだって」
SCRAMBLESの親玉、松隈ケンタ作曲。まさか本人まで出てくるとは……この辺りで事務所の本気を信じるようになった。
ただし曲はイマイチ好きではなかった。
21-銀色のテレパシー
佳林ちゃん本人が「みんなどこでやるんだって思ってたでしょ?」と言う通り、Juice=Juiceにおける宮本佳林ちゃん、というような曲。
自分の中では『氷点下』は銀テレオマージュなので、良さみがダンチすぎて「雨星コンビは最強だな」と何度も思った。この曲こそまさに「全部宮本佳林ちゃんの声で聞きたい曲」であり、それが叶えられてとても嬉しかった。
22-「ひとりで生きられそう」って それってねえ、褒めているの?
やー!やりやがった!やりやがった!
ぜってー歌うと思ってたんだよな!話題の渦中の曲ですし!
何より、C版で冒頭のソロから宮本佳林ちゃんが外れたこと後に、「どうも、ぼくです」みたいな顔してひとそれ歌う宮本佳林ちゃん、マジ最高じゃないですか??カーッ!これが宮本佳林ちゃんなんだよな~~~~。
語弊ないように書くと、特に宮本佳林ちゃんの中であてつけみたいな気持ちはないと思う。多少はあるのが人間だから、人並みには感じるところがあったとは思うけど、今のタイミングの、ソロツアーの最終曲にこの曲を持ってくるのが「最高にロック」だと、本人も思ったのではないだろうか(テレパス1000%)。
ここまで全部そうだけど、印象に残った曲ほど、ブチ上がってるのであまり記憶にない。どんな顔して、どんな歌い方してたかとは覚えてない。だいたい下向いて頭振ってるので、今日も首が痛い。
とにかく「宮本佳林ちゃんだな!」
総括
宮本佳林ちゃんでした!!!!!!!!!
押忍!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
(2019.10.21追記)
さすがに総括と呼ぶには勢いだけだったので、改めて考えたことを追記しておく。
まずこのツアーの意義を「宮本佳林ちゃんの卒業」と切り離して考えることはできないだろう。佳林ちゃんからすると「そんな裏側に頭を使わず、ただこのライブを楽しんでほしい」と思うかも知れない。オタクの戯言ではあるが、今のJuice=Juice、今の宮本佳林ちゃんに思いを馳せた時、自分はこの話を切り話して考えることができなかった。
少し話は変わる。宮本佳林ちゃんと同じ学年のハロメン達=98年組は、通称「ばくわら世代」と呼ばれ、人数・個性ともに近年のハロプロのゴールデン・エイジだった。
しかし、そのゴールデンエイジは「将来の選択」も早かった。ハロプロには25歳までにアイドルを卒業する「25歳定年説」という説がまことしやかに囁かれているが、その25歳よりももっと前、20歳を迎える頃にはアイドルを卒業し、次の夢に向かって行った。
ゴールデンエイジの中心だった鞘師里保、盟友・田村芽実をはじめとして、鈴木香音、尾形春水、勝田里奈、相川茉穂。さらには、「先にモーニング娘。に受かってバチバチだった」と本人が口にした工藤遥など。
(注:この辺りからテレパス度が高まります)
そういう環境にあれば、否応なしに「自分はどう生きていくか、いつ卒業するか」ということを考えるのではないか。更には、ある種「自分のグループ」だったJuice=Juiceが、「自分なしでも続いていけるように変化していく」のを目の当たりにすれば、その思いは加速するだろう。
そんな中でのこのツアーである。このツアーの意義、それがソロ活動に向けた「試金石」であることは言うまでもない。
オタクの勘ぐり
さて、実はここからが本題である。
ライブ前に会ったオタクがこんなことを言っていた。「これはガス抜きじゃないですかね」と。
つまり、佳林ちゃんは既に卒業を決めていて、ただし事務所がそれを認めないため、折衷案としての「ガス抜き」だと。
自分はその類推に「さすがにそこまでは思わないです」と答えた。自分が最近現場に行ってないこともあるが、そう実感できるような状況証拠が無かったからだ。なにせ新体制8人のライブにまだ一度も行っていない。
ただ、ライブから数日が経って、その間に他のグループのメンバーの卒業が発表されていたりするのを見ると、自分が感じているよりもっと、アイドル達の生きるスピードは早いのかも知れないと思い直した。
自分は、佳林ちゃんはハロプロに殉じる人だと思っていた。
だが、それはいつまでも世界に変わってほしくない中年オタクの勝手な願望で、一人の女の子の生きるスピードはそんな鎖をたやすく振り切る。
「宮本佳林ちゃんは近い内に卒業するのかも知れない」
ツアー発表当時、多くのオタクが言っていた妄言が、今確かな質量を持って自分の中にある。
オタクの様子がおかしい。
そのオタクはハロー!プロジェクトに所属する、Juice=Juiceというグループのオタクだ。
メンバーの宮本佳林ちゃんのことが大好きで、まるで神か天使のように盲信している。
そのオタクの様子が近頃おかしい。
先日の10月10日にZepp Tokyoで行われたライブを楽しめなかったようなのだ。
ライブ後の話をまとめるとこうだ。「確かに宮本佳林ちゃんは可愛い。曲も好きだ。衣装も良い。なのに、今まで感じていた幸福感だけが無かった」
長くオタクをやっていると、そういうことはよくあると思う。
実際にJuice=Juiceに新メンバーが追加されるという発表があった時も、そのオタクは大層落ち込んで「ライブを楽しめないかも知れない」とうなだれていた。まあ、実際にライブに行ったら好きな曲が流れて「やっぱり最高だ」と手の平を返していたのだが。
だから、今回も一過性のものなのだろうと思っていた。そのオタクも「まあ、単なる寝不足だろう」と笑っていた。
けれど、今日10月13日にZepp Nambaで行われるライブには、どうやら行かないらしい。知り合いとのチケットの受け渡しがあるから大阪には行くらしいのだが、自分のチケットは売り払ってしまったそうだ。
「どうせ大阪には行くんだから、ついでに見てくればいいのに。完全に交通費の無駄じゃないか」と伝えたのだが、
「こんなに気乗りのしない状態でライブを見るのは、あんなに頑張ってるメンバーに申し訳ない」という謎理論で押し返された。
「どうするんだ」と聞いた。何を、とは聞かなかった。
「わからない」と答えた。それはそうだろう。
まさかオタクを辞めることはあるまい。彼にはオタクしかないのだ。
「一生オタクができればそれで幸せだ。だから宮本佳林ちゃんには一生アイドルでいてほしい」
それが彼の人生論だった。
そのオタクにとって、宮本佳林ちゃんは神なのだ。
宮本佳林ちゃんがいるから、彼は何も考えずに生きていられた。
彼は言っていた。「宮本佳林ちゃんが日々あんなに頑張って、世界に光を届けようとしてくれているのに、その光を見ないなんて背信だ」と。
背信。
* * *
Juice=Juiceは10月29日に日本武道館での公演も控えている。
さすがに彼もそれまでには持ち直すだろう。
だが僕は知っている。過去、僕は2人のアイドルのオタクを卒業してしまった。
その2人のことは今でも好きだし、何かイベントがあれば見たいと思うし、実際に行く。だけど「一生この人を見ていればいいな」とは思わなくなってしまった。神ではなくなってしまった。
僕は彼を信じている。
あんなにだらしない顔でニヤニヤと宮本佳林ちゃんを見ている時の幸せそうな顔を、僕は信じている。
オタクは神を喪っては生きられない。
9/29 演劇女子部『タイムリピート~永遠に君を想う~』感想 #TR永遠君
Juice=Juiceとハロー!プロジェクト新グループによる舞台、『タイムリピート~永遠に君を想う~』を観てきた。昼公演と夜公演の2回。
Juice=Juiceとしては4年ぶりの舞台。演劇女子部としては珍しく客演が居ない形での若い舞台。自分個人としては"めちゃくちゃ推している人"の初めて観る舞台だ(ミュージカル戦国自衛隊はノーカウント)。
一言で言うと、頭では面白く、心では割り切れない舞台だった。推しの舞台を、推しの熱演を、素直に楽しめないことがあるなんて……。
※以下、ネタバレあり。
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