水玉小屋

2012年、アイドル〜ハロプロにはまってもろもろ。

ほどけた糸(6月13日〜16日の記録)

感情を記憶させておく場所というのものが、今はこんなところしか思い浮かばない。

* * *

6月13日、午後8時58分。僕は仕事で外出先にいた。

動画収録の本番2分前、最後の台本チェックを終えて、手持ち無沙汰にスマホのスクリーンをONにすると、通知欄にオタクの友人からの連絡が届いていた。
「大事件なのでTwitterを見てください」

その下には、Juice=Juiceの公式アカウントのツイート通知が並んでいた。
稲場愛香 Juice=Juice加入のお知らせ」

僕はスマホのスクリーンをOFFにして、収録開始の合図を待つカメラさんに「大変なことが起きました」と一言漏らした。

* * *

仕事が終わって会社へ戻る電車の中で、僕はスマホからTwitterのアプリをアンインストールした。

2014年4月29日、道重さんが卒業を発表した時、初めての推しの卒業発表に、世界が終わりを告げたようなショックを受けた僕は、ほうほうの体で山口県のホテルに辿り着いた。ベッドに横たわってTwitterを開くと、そこには色んなオタクの色んな言葉が並んでいた。

当たり前だけど、そのどれもが自分の感情とは一致しなくて、一致しない一つ一つの齟齬に苛立ち、疲弊してしまった。

それから、本当に自分の感情がよくわからない時はTwitterを見ないようにしようと思った。

電車の中でアンインストールを終えた後、Google Mapsを開いて、赤羽橋を検索した。窓ガラスの一つでも割ってやりたいと思った。ガラスは割れないまでも、せめて窓に一発パンチでもしようと思った。

でもきっと、巨悪のビルを前にして何もできない無力な自分がそこにいるだけ、という図が想像できたので、大人しく会社へ戻って仕事を続けた。

* * *

6月16日。今日までの4日間、色々な感情に身を委ねた。
怒り、呆れ、落胆、怒り、失望、放心、諦念、自棄、放心、放心、放心――。

最後に残ったのは放心だった。

「どうだっていいじゃないか」
「僕の好きな"Juice=Juice"というのは、僕だけの幻だった」
「なんだってよかったんだ。5人だろうが7人だろうが8人だろうが100人だろうが」
「なんだったんだろう。あの時怒ったオタクや、泣いたオタクや、揺れ動いたメンバーの感情、佳林ちゃんの気持ちは」
「全部、事務所からすればなんでもよかったんだ」

そうして"Juice=Juice"という名前を失って、"自分が好きなもの"を一纏めにする言葉を失って、僕は、ただ宮本佳林ちゃんと大人の事情と生まれたてのBaby Loveと如雨露とその他いくつかの曲が好きなオタクになった。

宮本佳林ちゃんのオタクとして、宮本佳林ちゃんが出る場所には行きたかったので、6月16日の三郷市のコンサートには行くことにした。

7人最後のホールツアーという感慨は当然のように無かったので、悲しくも無かったけど、かと言って楽しみにしていたわけでも無かった。

出発時間ギリギリに家を出て、電車を乗り過ごし、会場へ着いた頃には、このコンサートで一番好きな曲であるDream Roadのアウトロが流れていた。

* * *

2017年の7月13日。道重さゆみが再生して初のバースデーイベントの日、僕は朝の通勤電車の中でイベント後に開かれるオタク仲間との飲み会をキャンセルした。

そしてスマホから黄色いアプリを開き、名古屋で行われるJuice=Juice5人体制最後のLIVEのチケットを手に入れた。

仕事を急病で抜け、新幹線に飛び乗ったはいいが、受取先の郵便局で、譲ってくれる相手との連絡が途絶えた。開演まであと40分、30分、20分……ライブは始まり、せめて会場前で音漏れを聴こうと現地へ向かった時、ようやく相手と連絡が取れた。

開演して30分近くたったライブハウスの最後列へ体を潜り込ませて、一つ一つの音と、滲む光を記憶しようとステージを見つめた。

そういう感慨は、今日、2018年6月16日は無かった。

相変わらず、宮本佳林ちゃんは最強に可愛くて、遠目から見てもダンスのポージングや振り付け表現がしっかりしていて、歌の癖も強くて、でもストレートで、やっぱり「好きだなあ」「ずっと見ていたいなあ」と思った。

イジ抱きはいつ聴いても最高だし、SEXY SEXYは今期のMVP、裸のkissの佳林ちゃんのキレを堪能した。 髪を切った宮崎ゆかにゃがどちゃくそ可愛くてガチ恋だった。
それだけで十分だった。

けれど、ライブの後半にMagic of Loveが始まった時、そうして投げやりになっていた自分に魔法がかかった。音楽の魔法、ライブの魔法が。

抗いがたい、歌の力、メロディーの力、どうしようもなく心が躍り出して、腕が信者のように天を仰いでしまう力。

楽しかった。

別に楽しくならなくてもよかった。

ただ佳林ちゃんを見られればそれでいいと思っていた。

でも楽しかった。

音楽が僕の体を動かす限り、僕はライブに来るだろうと思った。

* * *

夢から醒めて、いまだ気持ちは晴れない。

それでもいつかは、この感情も薄れて楽しくライブを見る日が来るだろう。ライブの魔法にどっぷりと浸かる日が。

僕よ、いつかの僕よ、覚えておいてくれ。この感情が消えても、アップフロントを許すなんて思わないでくれ。

5人から7人になる時に、どれだけメンバーが自分達を奮い立たせて、努力して、オタクに気を遣って、新メンバーを迎え入れ、みんなで過ごして、少しずつまとまって、幸せに包まれ、この7人で頑張ろうと手を取り合ったメンバーの気持ちを踏みにじったアップフロントを決して許さないでくれ。

いつかの君が好きなそのJuice=Juiceは、
今の僕が好きなJuice=Juiceとは違うことを、
どうか、
忘れないで。

6/2 演劇女子部『ファラオの墓~蛇王・スネフェル~』感想

モーニング娘。ハロプロ研修生、客演3名、演劇女子部2名、謎の元ハロプロ・アドバイザーによる舞台、『ファラオの墓~蛇王・スネフェル~』を観てきた。

昨年(2017年)に上演された同名舞台の新解釈Ver.。 原作は竹宮恵子の同名作品。読んでいない状態での観劇。2017年Ver.の感想はこちら

一言で言うと「差分を楽しむ高度なオタクの遊戯」だった。

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ステージの上に推しが2人いる(3/21夜 サユミンランドール)

道重さゆみ他出演によるショウ、『SAYUMINGLANDOLL~宿命~』を見てきた。3/21夜公演。公演全体としては3回目で、自分は初見。

「ショウ」と書いたけど、この公演をなんと呼べばいいのかは難しい。公式サイトには以下のように書いている。

「コンサート」でも「ミュージカル」でも「ディナーショー」でもないパフォーマンス、 音と光、そして映像が織り成す約80分のSHOWをお楽しみください。
http://sayuminglandoll.com/

つまるところ「ショウ」ではあるんだろうけど、昨年の『SAYUMINGLANDOLL~再生~』は「新感覚のパフォーマンス」という煽りを冠していたことを考えると、確かに今回のショウにはその"差分"が表れていたようにも思う。

(以下、ネタバレありの感想)

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2/3 映画『ピンカートンに会いに行く』感想

なかなか良い映画を見たので感想を書き残しておく。

あらすじ&予告編

かつて、ブレイク寸前で突然解散してしまった伝説の5人組アイドル「ピンカートン」。20年が過ぎ、リーダーだった優子は今も売れない女優を続けていた。ある日、優子の元にレコード会社の松本と名乗る男からかかってきた電話。それは「ピンカートン再結成」の誘いだったのだ。
http://www.pinkerton-movie.com/

www.youtube.com


ここからはネタバレを含む話。

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ぼくは、Juice=Juiceのファンです。(6/26によせて)

ぼくは、Juice=Juiceのファンです。

Juice=Juiceは、ハロー!プロジェクトに所属する5人組のグループです。

先程、そのJuice=Juiceに新メンバー2名の追加が発表されました。
ハロ!ステ号外 ~ハロー!プロジェクト2017新体制決定スペシャル~

新メンバーは、梁川奈々美ちゃんと、段原瑠々ちゃん。
おめでとう。


ぼくは、少し前までJuiceに新メンバーが入ってほしくないなあ、と思っていました。
Juice=Juiceは、デビュー以来、ずっと5人で活動を続けてきたので、そういう文化はありませんでした。

Juice=Juiceがデビューした頃は、ぼくはモーニング娘。のファンでした。道重さゆみさんが好きでした。
道重さゆみさんが卒業を発表して、ちょっとしんどかったので、好きになり始めていたBerryz工房にも行くようになりました。
とても楽しかったです。
けれど、Berryz工房も活動を停止しました。

ぜんぶ終わって、モーニング娘。のコンサートにも行きましたが、目の前の光景よりもっと綺麗な思い出がたくさんあったので、辛くて見ていられませんでした。

それからフラフラしていましたが、2015年10月10日にフラッと行ったJuice=Juiceの江戸川公演がとても楽しくて、少しだけJuice=Juiceが気になりました。

またしばらくして、2016年の春頃になって、ちょっとずつJuice=Juiceのライブに通うようになって、ファンになりました。
ぼくは保守的な性格なので、好きなものは、ずっと変わらず、ずっと好きなままでいたいなあ、と思っていました。

だから、去年の初の武道館公演の時も(何か発表があるんじゃ……)と不安を感じていました。
でも、それを越えると、(おや、どうやら無さそうだぞ)という気持ちになってきました。
そして、5月にハロプロ研修生3人のデビューが発表になった時は、(まあJuiceは無いだろう)と安心していました。

けれど、6月上旬。カントリー・ガールズから3人が他グループに移籍することが発表されました。
それを聞いて、ぼくは、(あ、これはしょうがないな)と思いました。
こういう緊急事態ですし、カントリー・ガールズのメンバーのことを思うと、さぞ辛かろうと思いました。

あとは、誰が入るかなあ、くらいに思っていました。
誰が入ってきても、ぼくはJuice=Juiceのファンだからな、と思っていました。


そして今日、発表がありました。

すごく恥ずかしいのですが、急に実感が湧いて来ました。

……何を書けばいいかわかりません。

実感が湧いて来ました。

今までのJuice=Juiceとは、同じだけど、まったく同じではない、ということが。


ぼくは、Juice=Juiceの歌が好きです。
「曲」ではなく「歌」の素晴らしさを教えてくれたのJuice=Juiceです。

同じメロディーでも、歌う人によって、色も、響きも、温度も違って……。
最初は特に好きじゃなかったメンバーの歌も、どんどん好きになりました。

ライブ中に目を閉じていても楽しいのは、今のところJuice=Juiceだけです。

特にぼくは、Juice=Juiceのユニゾンが好きです。 音色がたった5色しかないから、ぼくの粗末な耳でも聞き分けられて、個性がバラバラで。

混ざりあった一つの色じゃなくて、一つ一つの色が独立して、プリズムみたいに乱反射して、閉じた目の裏に虹をかけます。

でも、そこに違う色が入ります。
今のままで十分好きなのに、変わってしまいます。

ニゾンだけじゃなく、もしかしたら、既存の歌割の一部も、変わってしまうかも知れません。

大好きな如雨露も、大人の事情も、Baby Loveも、世捨ても、続いていくSTORYも……。

続いていくSTORY。

この曲を、あの5人以外が歌う。そんなことが。


昨日まで、ぼくは余裕でした。想像力がありませんでした。

急に実感が湧いて来ました。

好きな曲が変わってしまうことに。
好きな歌が変わってしまうことに。

変わっても、また好きになれるかも知れません。
なれないかも知れません。

でも、変わらないものもあります。
メンバーです。

曲が変わっても、歌が変わっても、メンバーは変わりません。
それすら今は、とてもありがたいことです。

だから、メンバーが変わらないから、
ぼくは、これからまたJuice=Juiceのファンになるのだと思います。

7人になったJuice=Juiceの曲を、歌を、これから一つずつ好きになっていくのだと思います。
たぶん。
きっと。
最初はちょっと、テンションが上がりきらないかも知れないけど。


大丈夫。

ぼくはまだ、Juice=Juiceのファンです。

そして多分、

ぼくはまた、Juice=Juiceのファンになると思います。

6/4 演劇女子部『ファラオの墓』感想

モーニング娘。ハロプロ研修生、客演2名、演劇女子部2名の舞台、『ファラオの墓~太陽の神殿編~』を観てきた。 原作は竹宮恵子の同名作品。読んでいない状態での観劇。

一言で言うと「完成度の高い舞台だった」。

舞台の完成度とは

偉そうに「完成度」と言ったものの、それほど多く舞台を観ている訳ではなく、高校の頃に演劇部だったのと、大学の頃に学生演劇をちょこちょこ見たのと、社会人になってからはハロプロ舞台くらいしかみていない……。

そんな観劇経験だけど、「その作品を構成する要素の一つ一つがきちんとチューニングされているか」というのが完成度の一つの指標だと思って毎回舞台を観ている。

そして、『ファラオの墓』は完成度が高い舞台だと思った。

以下、ネタバレを含む感想。

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「チケット、言うか言わないか。」を読んで

チケット、言うか言わないか。 - SEPTEMBER ENDs http://sayurumoon.hatenablog.com/entry/2017/05/15/010028

アンジュルムファンの方がこんなブログを書いていた。

上のブログを読んでほしいので、論旨はまとめずに書き進めようと思う。

Juice=Juiceファンのはしくれとして、ここ数日思っていたことをまとめる良い機会だ。

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