深夜2時、三浦春馬「Night Diver」
自分は三浦春馬が少し好きだった。
アイドルオタクになるよりももっと前、ただテレビなどで元気にしている彼を見ると嬉しくなるような、そよ風のような好意だ。
最初に彼の顔と名前が一致したのは8年くらい前になると思う。
美人な顔立ちだな、と思った。こんな顔に生まれたかったとも思った。
それからしばらくして、三菱東京UFJ銀行の広告に抜擢されていて、「がんばっとるやないけ」と嬉しく思ったのを覚えている。
その後すぐ、テレビを持たない生活になり、彼の記憶は薄れていった。
そして去年、テレビを持つ生活になり、また彼を目にすることが増えた。
久しぶりに見かけた彼は随分と雄々しくなり、
ヒゲなどを生やし、
ドラァグクイーンの役を華やかにこなし、
JUJUの隣で「ちょっとワルな大人」の顔をしたがる青年になっていた。
けれどもその瞳は、あの頃と同じ、黒く、みずみずしく、美人だった。
自分は三浦春馬がテレビに映るたび、
「春馬はこういう"男"としての自分を見せたがるからな~笑」
などど、同居人に向かって嬉しそうに話した。
そんな三浦春馬が死んだ。
* * *
ふんわりとした、そよ風のような好意だったので、落ち込むことは無かった。
けれど、喪失感があった。
同居人が「びっくりだね」と呟いたのだが、自分は言葉にしたくなかった。
比べるものでもないが、アイドルの卒業発表を聞いた時の喪失感に似ていると思った。永遠に会えなくなってしまうのだから。
ただし、毎月数回は会いに行くアイドルと違って、三浦春馬はテレビで目にするだけの存在だ。強いショックを受けるほどではない。
それでも、確かな喪失感があった。自分は、彼のことがけっこう好きだったのだと思った。
* * *
そして今日。
仕事が終わらず、終わらせる気もなく、ただ夜更しだけをしている深夜2時、YouTubeを開いたら、三浦春馬「Night Diver」のPVがホーム画面にあった。
曲は、想定していたよりも数倍カッコよく、コンテンポラリーな雰囲気だった。
「若手人気俳優が出した曲」というレッテルで括られるにはあまりに攻めた楽曲だった。
それを聞いて、(ああ、春馬だな…)と思った。
自分は三浦春馬のことをほとんど知らないが、「自分の中の三浦春馬像」にピタリと一致していた。
彼は、外見の柔和さや、アミューズという事務所での若手俳優という扱い以上に、個性的でありたい人だと自分は思っていた。
まさにその彼が自己表現としてリリースするに相応しい、攻めた楽曲だった。
* * *
ただそれだけのことで、1年ぶりにブログを書いた。
いや、本当は彼の「Night Diver」が、自分の好きなアイドルJuice=Juiceの「Dream Road」に似ていたからだ。
コンテンポラリーなダンス、打ち込みのサウンド、サビがまさかのInstrumental+コーラス。
初めて発売日にCDを買ったJuiceのシングルだ。
最初にラジオで初公開され、仕事帰りの電車の中で必死にイヤホンから手繰り寄せた音があまりにクールで、すぐに週末・小樽でやるライブに行くための飛行機を購入した。
あの時の情熱。
夏の小樽の風。
ライブハウスに充満するサウンド。
変なダンスを半笑いでする宮本佳林ちゃん。
そういったもの全てが「Night Diver」に呼び起こされ、僕は夜の底に沈んでいく。
明日の仕事、どうするか。
Juice=Juice『Dream Road~心が躍り出してる~』(Promotion Edit)
改めて聞くと全然似てないな。